ゲーミングキーボードのおすすめの選び方は? 製品ごとの違いを解説【初心者向け】
多彩なラインナップがあるゲーミングキーボード。あまりの数の多さに、どれを選べば良いのかわからなくなってしまった経験がある方も少なくないはずです。この記事では、そんなゲーミングキーボードの選び方の指針を紹介します。PCライフの良き相棒選びにお役立てください。
【執筆者紹介】
畑野壮太
PC・ガジェットなどのジャンルを得意とするライター。GetNavi、ASCIIなどのメディアを中心に、執筆活動を行っている。自作PCを愛用しており、パーツはコスパ重視で選ぶ主義。数千時間プレイしたタイトルがあるほどのゲーマーでもある。
ゲーミングキーボードに求められる要素
あなたはゲーミングキーボードにどのような要素を求めるでしょうか。単に快適にゲームをできれば良いのか、あるいは勝ちたいのか…まずは、ゲーミングキーボードに必要な要素を整理していきましょう。
その1:快適な操作性
ゲーミングに限らず、キーボードの操作性の好みは、人によって大きく分かれます。ある人にとって快適なキーボードが、ほかの人からしてみたら全くそうでない、というケースは十分にありえます。キータッチはソフトなもの、あるいは重いものを好むのか。カチカチとしたクリック感は欲しいか。静粛性は必要か。自分がどのような製品を求めているのか、キーボードを購入する前にあらかじめ把握しておく必要があります。
自分の好みを知る方法は2通りあると筆者は考えています。ひとつは、実店舗などで実際に様々な製品を試して、どれが自分の肌に合うのか確かめること。もうひとつは、現在使っているキーボードに対して抱いている不満を列挙し、どのような製品であればそれを解決できるのか考えることです。いずれにしても、漫然と製品を選ぶのではなく、一定の方針を持つようにしましょう。
その2:ゲームを勝利に導く機能
わざわざゲームのためにキーボードを買うのですから、勝ちにはこだわりたいところ。操作性だけでなく、勝つための機能を搭載していてほしいものです。
その代表格といえるのが、複数のキーを同時押ししたときに多数のキーを認識できること。「Nキーロールオーバー」という機能を搭載している機種であれば、いくつのキーを同時押ししてもそれを認識できます。Nキーロールオーバーは、ゲーミングキーボードにとって必須ともいえる機能です。(※)
※USBキーボードの場合、Nキーロールオーバーを搭載していても、同時認識できるキーの数の上限は6つに制限されます。
ほかにも、マクロ機能に対応している機種なら、キーの割り振りの変更やショートカットキーのコマンド設定が可能です。また、入力していないキーの誤認識を防ぐ、アンチゴースト機能を搭載したモデルもあります。これらは操作量が多いFPSなどのゲームで役立つ機能です。
その3:設置性
キーボードを設置するには、卓上の面積がそれなりに必要になります。その点、テンキーの有無によってキーボードの大きさはかなり変わります。テンキーを使わない場合、大きなキーボードを買う必要はないので、その要不要はあらかじめ考えておきましょう。
また、有線か無線かによって、キーボードの設置性は大きく変化します。有線なら安定した接続を見込める一方、一時的にキーボードを片付けるなどの小回りが利きにくくなります。筆者の場合は、同じデスク上でノートパソコンとデスクトップを使い分けているので、卓上のレイアウトを変えやすいようにデスクトップ用のゲーミングキーボードは無線のものを使用しています。
その4:ゲーム以外での使いやすさ
ゲーミングキーボードを仕事でも使う、というユーザーもいるでしょう。その場合重視すべきなのが静粛性です。というのも、キーボードを打つ際のクリック音が大きすぎると、ウェブ会議中にマイクがその音を拾ってしまいます。あとで詳しく書きますが、キーボードの構造によって静粛性は異なるため、使用環境に応じて適したモデルを選ぶ必要があります。
選び方の前に…ゲーミングキーボードの種類を知ろう
ゲーミングキーボードに求められる要素を書いてきました。次は、どんな種類のキーボードがあるのか解説していきます。
ゲーミングキーボードはその構造によって主に3つの種類に分けられます。その3つとは、メンブレン式、メカニカル式、静電容量無接点方式。これらの構造によって使用感が大きく変わってくるので、まずはその違いを知りましょう。
なおパンタグラフ式というキーボードも存在していますが、これはノートパソコンなどに用いられる省スペース性に優れた方式です。ゲーミングキーボードで採用されるケースはほぼないため、ここでは割愛します。
メンブレン式:柔らかなキータッチと安さがウリ
オフィス向けを中心に、ゲーミング以外で最も広く普及しているキーボードがメンブレン式です。メンブレン式キーボードのキーの下には、「メンブレンシート」と呼ばれるシリコン製のシートが内蔵されています。シート上のキーが押されると、その下にある基板と押し込まれたシートが接触し、入力が検知される仕組みです。
キーを通して押下するのはシリコン製のシートなので、打鍵感は柔らか。ほかの形式のキーボードと比べて部品数が少ないため、メンブレン式のキーボードは価格が安く抑えられています。
ただし、キーをしっかり下まで押さないと入力が検知されないことがある点はデメリット。また、すべてのキーが1枚のメンブレンシートに乗っているので、1つのキーが故障した場合に1箇所だけの修理ができず、製品ごと買い替えることになります。また、メンブレンに採用されているシリコン素材の寿命は、決して長くありません。
ゲーミングという観点で見ると、メンブレン式のゲーミングキーボードは限られます。ゲーミングシーンでは一部のキーに操作が集中することが多いため、特定のキーの消耗が早まりやすく、寿命の面での弱点が目立ちやすくなってしまいます。
メカニカル式:多彩な軸による豊富なラインナップ
多くのゲーミングキーボードで採用されているのが、メカニカル式です。メカニカルキーボードのキーの下には機械式のスイッチが内蔵されており、これによってキー入力を検知します。
メカニカル式の利点としては、内部のスイッチが金属などでできているためメンブレン式に比べて寿命が長い点、キーごとのスイッチが独立しているので、キーが故障したときにもスイッチひとつひとつを交換でき、長く使える点が挙げられます。また、スイッチの「軸」には様々な種類があり、それによって打鍵感が大きく異なります。この軸の多様さが、メカニカルキーボードのバリエーションの多さを生んでいるのです。
軸の種類と特徴は下記の通りです。
- 赤軸:小さな力でタイピングでき、静粛性にも優れる。
- 青軸:打鍵感が重く、キーの反発力も強い。カチカチというクリック感があり、音も鳴る。
- 茶軸:赤軸と青軸の中間。青軸ほどではないが、クリック感もある。
- 銀軸:キーを少し押し込んだだけでも認識するので、高速タイピングに適する。キータッチも軽い。
- 黒軸:しっかりした反発力がある一方、静粛性が高い。
- クリア軸:黒軸に似て、反発力が強い。クリック感はあるが、音は鳴らない。
静電容量無接点方式:ヌルッと沈む独特な打鍵感。寿命は最も長い
「無接点」の名の通り、電極の接点を持たないキーボード。物理的な接点がないので摩耗が少なく、寿命は最も長いとされています。その打鍵感はヌルッと沈み込む独特なもので、音はかなり静かです。
ユニークな使用感から、根強い支持を獲得している静電容量無接点方式ですが、価格がほかより頭ひとつ以上抜けて高いのが難点です。キーボードに強いこだわりのあるユーザー向けといえるでしょう。
買ってから困らない! ゲーミングキーボードの選び方
ゲーミングキーボードに求められる要素と種類を解説したところで、具体的な選び方を述べていきます。製品の種類ごとに表で比較、それぞれどのような人におすすめか記述していきます。
キータッチ | 反発力 | 静粛性 | 寿命 | 価格 | こんな人におすすめ | |
メンブレン式 | ソフト | × | ○ | △ | 1万円以下 | 価格重視で選びたい人 |
メカニカル式:赤軸 | ソフト | △ | ○ | ○ | 1万円前後〜 | 静粛性重視で選びたい人 |
メカニカル式:青軸 | ハード | ◎ | × | ○ | 1万円前後〜 | キータッチのハードさ重視。ゲーミングにしか使わない人 |
メカニカル式:茶軸 | 中間 | ○ | △ | ○ | 1万円前後〜 | 最もスタンダード。強いこだわりがない人 |
メカニカル式:銀軸 | ソフト | △ | △ | ○ | 1万円前後〜 | 操作量の多いゲーマー |
メカニカル式:黒軸 | ハード | ◎ | △ | ○ | 1万円前後〜 | キータッチはハードなほうが良いが、静粛性も欲しい人 |
メカニカル式:クリア軸 | ハード | ◎ | △ | ○ | 1万円前後〜 | 黒軸の特徴に加え、クリック感を求める人 |
静電容量無接点方式 | 超ソフト | × | ◎ | ◎ | 3万円以上 | 独特な使用感に強いこだわりがある人 |
上記の表は、キータッチを中心にした使用感に限ったものです。これらに加え、付加機能はどの程度ついているか、テンキーはあるかないか、有線か無線かといった要素を含め、製品を選ぶことになります。
表の下にも注釈として書きましたが、同じ構造のキーボードであっても、製品によって使用感が微妙に異なるのが面白く、そして厄介なところです。ですから、製品を選ぶときには、実店舗で試用して、肌に合うものを探すのが、最もハズレがありません。
製品紹介:ギガバイトのゲーミングキーボード
最後に、ギガバイトが販売しているゲーミングキーボードのハイエンドモデル、AORUS K9 Opticalを紹介します。その特徴は、防水仕様であることと、一部のキーで赤軸・青軸を切り替えられることです。
通常、メカニカルキーボードには防水性がありません。寿命が長いといっても、飲み物をこぼしてしまうと、故障の心配があります。しかし本機は金属の端子が露出していない構造を採用しているので、そんなときにも安心の防水性を誇っています。万一濡らしてしまっても、スイッチを外して、キーボードを乾かすだけで使い続けられます。
そして、青軸と赤軸を使い分けられる点も見逃せません。K9 Opticalのスイッチは赤軸ですが、9つの青軸スイッチが付属しています。キーボード上のスイッチは取り外せるので、一部のキーだけを青軸にして使用することが可能です。ゲームでよく使う、AWSDキーや方向キーだけを青軸にすることで、操作中の感覚を変えられます。
また従来のメカニカルキーボードに比べて2倍の長寿命を誇るなど、基礎性能が高いのもポイントです。Nキーロールオーバーにももちろん対応。誤認識を防ぐ、チャタリング防止機能も搭載しています。