コラム

【Intel第12世代CPU対応】マザーボードの選び方とおすすめのZ690・B660モデル

Intel第12世代CPU対応のマザーボードは現在の主流となっています。
「あまりお金をかけたくはないけれど、ゲームはそこそこできるPCを組みたい」、「コスパよくPCを自作したい」と悩んでいるユーザーは今も少なくないでしょう。
ここでは最新ハイエンドラインとまではいかないにしても、十分に満足できる自作PCを組むためのマザーボード選びのポイントと5種のおすすめマザーボードを紹介します。

第12世代CPU対応のマザーボードを選ぶポイント

Intel第12世代CPU対応のマザーボードが市場に投入され、そろそろCPUとあわせて購入を考えているユーザーも多いでしょう。
CPUが脳ならマザーボードは体、PCを自作するならマザーボード選びがCPU選びと同等に重要なことはもちろん言うまでもありません。
予算も含めて気になる点は多いですが、第12世代CPU対応のマザーボードを選ぶときのポイントを改めてまとめておきましょう。

CPUとソケット

CPUソケットは、CPUによって対応ソケットが異なるので確認が必要です。
型番としては、今回紹介するIntel第12世代対応ソケットはLGA1700、前世代対応ソケットはLGA1200と表記されていますので、購入時に間違えないよう押さえておきましょう。
具体的にはCPUのサイズが大きくなっています。

フォームファクタ

フォームファクタ(form factor)は物理的な形状や規格を意味します。
マザーボードにも規格があり、適合サイズやネジの位置、接続端子の仕様や配置によってどうしてもPCケースに合わないフォームファクタも存在するので、配置スペースは物理的にチェックをしておきましょう。
現在フォームファクタは、大きい順にATX、次にMicroATX、最も小さいものがMini-ITXという3種が主流となっています。
ATXは拡張スロット数も多く、たくさん拡張カードを取り付けることができるハイエンドPC向けが充実しています。
MicroATXはATXほどではありませんが比較的拡張性が高く、製品の種類も豊富です。
Mini-ITXはほとんど拡張性がなく、メモリスロットも少ない代わりにコンパクトになっています。

チップセット

チップセットの性能はPC全体の性能に大きな影響を与えることになるため、各パーツとの連携が高速でできるかが重要なファクターです。
特にオーバークロック(OC)を望むなら、定格を超える処理に耐えられるかどうかチェックが必要です。

メモリ(スロット数)

Intel第12世代CPUから、より高速でデータのやり取りができるDDR5メモリが使えるようになりました。
ただし、DDR5でなければ使えないわけではなく、DDR4もサポートしています。
また、メモリは種類だけでなく、マザーボードに何枚のメモリを差せるかもチェックポイントです。
通常ATXでは4スロットが搭載されており、MicroATXやMini-ITXなどは2スロット搭載の仕様が多くなります。

ストレージ(形式)

M.2スロット対応ならPCを高速化できますが、古いマザーボードはM.2スロット対応ではない場合もあります。
また、M.2スロットを複数導入できるものもありますのでチェックしておきましょう。
PCにHDDやSSDといったストレージや光学ドライブなどを接続したい場合は、SATA端子(シリアルATA)が必要か確認し、端子数をチェックしておきましょう。

PCI Express×16スロット

PCI Express×16スロットは、デスクトップPCの機能拡張のための接続規格です。
通常グラフィックボードを差し込みますので基本的に1スロットあればOKですが、エンコード専用カードを拡張したい場合などは2スロット以上ある必要があります。

I/Oパネル(端子数)

必要な端子があるか、ポート数が十分か必ず確認しましょう。
特にUSBポートの数は重要ですし、スマートフォンでデータを移行したい場合にはType-C端子があると便利です。

Wi-Fi機能

無線LANでPCを繋ぎたい場合は、マザーボードにWi-Fi機能が必要となります。
後からWi-Fiカードを購入して取り付けることもできますが、その場合はマザーボードのスロットを消費しますのでデメリットです。
Wi-Fi付きのマザーボードなら最初から専用アンテナ端子が付いているので、スロットを埋めることなくWi-Fiが使えます。

予算

最終的には必要な機能と予算とのバランスになります。
当然ながら機能の多い高性能マザーボードは金額が高くなりますので、あらかじめ譲れない機能がどれなのか、優先度をつけておくと良いでしょう。

おすすめの第12世代CPU対応マザーボード5種

それでは第12世代CPU対応のマザーボードでおすすめのZ690・B660モデルを紹介します。
それぞれの強みや機能を押さえておきましょう。

GIGABYTE Z690 UD AX DDR4

Z690 UD AX DDR4は、GIGABYTE「Ultra Durable」シリーズのZ690 ATXスタンダードモデルです。
Intel Wi-Fi 6が追加され、有線LANはRealtekチップによる2.5GbE 有線LANを備えている高速通信対応が特徴です。
そのため、Wi-FiやBluetooth環境を使用している(またはこれから使用したい)場合、Wi-Fi付きでZ690をコストパフォーマンス重視で組みたいときにおすすめと言えるでしょう。
メモリもDDR4なので、手持ちメモリを流用したい場合や入手しやすいDDR4でサクッとPCを組みたい人に向いています。
強みとしてはWi-FiやBluetoothオンボード搭載でDDR4メモリ対応というほかに、充実した電源フェーズ設計である点が挙げられます。
タンタルコンデンサなど電源フェーズ周りの設計が良く、Z690のWi-Fi付きマザーボードとしては最安値というのも強い魅力です。

GIGABYTE UD DDR4

Z690 UD DDR4はZ690 UD AX DDR4からWIFIを省略したATXモデルです。
有線LANに2.5ギガビットLANを採用し、最大2.5GbEのネットワーク接続が可能です。
ATXサイズのZ690マザーボードで最安値クラスとなるのが大きな魅力でしょう。
メモリはDDR4なので、今あるメモリを流用したい場合や市場で入手しやすいメモリですぐに組みたい場合におすすめです。
Z690をコストパフォーマンス重視で組みたい場合、充実した電源フェーズ設計でZ690にしてはリーズナブルなZ690 UD DDR4は向いています。
特に、性能に対して価格がお得に感じられる点やタンタルコンデンサなど電源フェーズ周りの設計が良い点がおすすめのポイントです。

GIGABYTE B660I AORUS PRO DDR4

B660I AORUS PRO DDR4は、電源回路にダイレクト設計の8+1+1フェーズ回路を搭載しているMini-ITXモデルです。
大型ヒートシンクや5W/mKの高熱伝導サーマルパッドなど、小型ながら冷却性能を重視した設計にも特徴があると言えるでしょう。
Wi-Fi/Bluetoothオンボード搭載なので、Wi-FiやBluetooth環境を使用している人、これから使用したい人に向くボードです。
DDR4なので、メモリを流用したい、入手しやすいメモリで組みたいという人にも適しています。
ただ、それより何よりこのマザーボードの真骨頂は、小型PCの自作に適している点にあります。
今Mini-ITXで組むなら、現状ではこのB660I AORUS PRO DDR4一択といっても過言ではありません。
Mini-ITXとしてはスペックが高く、納得の仕様と言えるでしょう。

GIGABYTE B660M DS3H AX DDR4

B660M DS3H AX DDR4は実売2万円以下で、無線LANや独自ユーティリティを搭載したシンプルかつ堅実なMicroATXマザーボードとして人気です。
トータルでコストパフォーマンスに優れており、エントリーからミドルまで現時点では自作PCのメインボードといって良いでしょう。
合致するのはWi-FiやBluetooth環境を使用している、もしくはこれから使用したい人で、DDR4メモリを流用したい人です。
Wi-Fi付きでB660をコストパフォーマンス重視で組みたい場合は、おそらくこの選択になるでしょう。
B660のWi-Fi付きとしては最安値であり、M.2サーマルガードが付属しているので放熱対策もバッチリです。

GIGABYTE B660M D2H DDR4

B660M D2H DDR4は「ULTRA DURABLE」シリーズのシンプルなスペックで、リーズナブルな価格が魅力のマザーボードです。
手持ちのDDR4メモリを流用したい場合やDDR5が潤沢に出回るまで待っていられない人にはおすすめで、格安のコストパフォーマンスでPCを自作したい人にも向いています。
B660M D2H DDR4の強みは、B660の中ではリーズナブルな割に2.5GbE有線LAN搭載という点です。
B660には興味があるけれど予算的にはできるだけ絞りたいという人、サブPCとしてサクッと組んでしまいたいという人におすすめです。

2万円を切る高機能マザーボードが人気

実は1万円台で買える高機能な第12世代Coreマザーボードといえば、B660M DS3H AX DDR4というのがすでにセオリーになりつつあります。
その理由は、性能に比べてリーズナブルだということのほかに、6+2+1フェーズ(合計9フェーズ)構成のデジタル電源回路にもあると言えるでしょう。
このB660M DS3H AX DDR4の電源回路はミドルレンジ相応といえる構成で、従来型仕様でありながら部材にはプレミアムチョークや高耐久コンデンサーを採用しています。
電源回路部は各パーツに電力を供給する重要なパーツでありながら、PCの性能にダイレクトに影響しないため重要性が理解されない場合も少なくありません。
当然ながら安定動作に欠かせないものですが、特に第12世代Intel CPUは従来よりも電源回路への負荷が高く、高負荷での安定稼働は大きなポイントと言えます。
シンプルですが最新のマザーボードらしく、PCI Express 4.0接続にも対応しています。
上位チップセット搭載のマザーボードのような豪華さはありませんが、こちらで十分というユーザーが多いのも納得です。

Z690か?B660か?性能と価格のバランス

Intel第12世代Coreシリーズの性能は高く評価されていますが、組み合わせるZ690マザーボードは魅力的ながら少々高いという声はよく聞かれます。
それも踏まえて登場した弟分ともいえるB660は、まさにリッチな仕様で価格を抑えた、今どきの自作PC用最適解と言えるでしょう。
確かに、高機能な第12世代Coreマザー、B660M DS3H AX DDR4が1万円台で買えるのは魅力としか言いようがありません。
通常、低価格帯のマザーボードは「それなり」の性能や機能のモデルになってしまうことも事実です。
Intel第12世代と合わせるとなると、十分なパフォーマンスを引き出すためにはマザーボードもそれなりの性能が要求され、安価なものでは物足りなくなります。
ただ、ラインアップの中でもB660M DS3H AX DDR4は、一見するとシンプルで低価格なマザーボードでありながら、ミドルレンジモデルとしては十分な装備と言えます。
電源周りの強さに加えて9フェーズのデジタル回路、2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 6対応など強いネットワーク機能を備えている点も魅力です。
ただ、ゲーミングマシンとして特化するなら、やはり安定性の高いZ690 UD AX DDR4のほうがおすすめです。
Z690 UD AX DDR4もZ690マザーボードとしては最安値クラスですが、電源周りが強くパーツの品質にこだわり、機能面をシンプルにまとめたスタンダードなモデルと言えます。
結局は価格とのバランスになりますが、両者の間で迷うなら、どちらに落ち着いても納得のいく選択になるはずです。

Intel第12世代CoreシリーズにはDDR5なのか?DDR4なのか?

PCの自作で必ず話題にされるのがメモリです。
ご存知の通り、メモリにはさまざまな種類があり、マザーボードごとに対応しているメモリは異なります。
これまでの変遷でDDR4とDDR3では互換性がなかったように、現在最新とされるDDR5とDDR4にも互換性はありません。
また、第12世代CoreシリーズはDDR4もDDR5もサポートしていますが、両対応のマザーボードも変換アダプターなども存在していませんので、あらかじめ認識が必要です。
ここで悩ましいのがDDR4かDDR5かということですが、現段階ではDDR5は第12世代CPU導入のハードルになっているのが実情です。
理由はDDR5の供給量が少なく、流通量が極端に少ないことから販売価格がかなり高くなっていることが挙げられます。
原因はモジュールに必要なPMICが圧倒的に不足していることですが、この状況は2022年も当面は続く予想となっており、出口はまだ見えていません。
そのため、DDR5メモリが手に入るまで第12世代Coreシリーズの自作を待つのは現実的な選択ではなく、入手しやすいDDR4で組む人が増えています。
また、結果的にたとえ最新のハイエンドでなくとも、DDR4で第12世代Coreシリーズの性能をフルに引き出すことは十分可能である点も挙げられます。
パフォーマンスが良く格差が小さいなら、よりリーズナブルなDDR4版マザーボードでPCを組んだほうが良いという結論に達するのは至極当然の流れと言えるでしょう。
もともとDDR4マザーボードはコスト重視のものが多く、バランスの良い自作が可能です。

最新のIntel第12世代CPU対応のマザーボードでも小型PC(Mini-ITX)は組める

自作PCはどちらかといえばビッグサイズなイメージですが、スペースの関係上、小型しか置けないというユーザーも少なくないでしょう。
もちろん、通常使用やクリエイティブ、ゲーミングPCとして使用できる小型PCも自作可能です。
Intel第12世代CPU対応のマザーボードでMini-ITXに対応しているのは、B660I AORUS PRO DDR4です。
Mini-ITXは約170mm角とかなりコンパクトな仕様ですが、小型=既存のノートPC以外にも、好みのスペックで好きに組めるという選択肢があることはぜひ知っておきましょう。
ただし、拡張性がほとんどないため、どんな機能が欲しいか最初に明確にしておくことが必要です。
スペックを洗い出し、譲れない部分を明確にすると具体的なイメージが固めやすいでしょう。
また、ゲームができる性能を確保することも大切です。
軽量ゲームなら十分遊べるだけのグラフィック機能も必要ですので、コストパフォーマンスもあわせて検討が必要です。

まとめ

Intel第12世代CPU対応のおすすめマザーボード5種と、それぞれの強みやポイントを紹介しました。
結論からすれば、性能に対してのコスパを考えれば、B660M DS3H AX DDR4を選べば間違いないと言えます。
もう少しパワーが欲しい、ゲーミングマシンとして特化したいという場合は、安定性を考えてZ690 UD AX DDR4を選ぶのがおすすめです。
また、小型PCを自作したいなら、Mini-ITXに適したB660I AORUS PRO DDR4の一択でしょう。
PCを自作する場合には、あらかじめ外せない用途や目的、サイズ感などで優先度をつけるのがコツです。
最終的には予算とバランスを取り、ぜひ納得のいく一台を組み上げてください。

関連記事一覧