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4万円台から手に入る最新ハイエンドマザボ。Z890チップセットの特徴や魅力を解説

2024年10月25日に発売された、Intel製CPU「Core Ultra 200S」シリーズ。それと同日に、PCパーツメーカー各社がZ890チップセット搭載マザーボードを発売しました。ギガバイトでも、9機種を発売中です。

LGA1851ソケットを装備したZ890チップセット搭載マザーボードは、2024年11月27日時点で唯一Core Ultra 200Sシリーズに対応しています。「最新のCPUをいち早く使いたい!」という方は、必然的にこのチップセットが搭載されたマザーボードを選ぶことになります。この記事では、Z890チップセット搭載マザーボードの特徴と魅力について、わかりやすく解説します。

【執筆者紹介】
畑野壮太
PC・ガジェットなどのジャンルを得意とするライター・家電製品総合アドバイザー。GetNavi、ASCIIなどのメディアを中心に、執筆活動を行っている。自作PCを愛用しており、パーツはコスパ重視で選ぶ主義。数千時間プレイしたタイトルがあるほどのゲーマーでもある。

Z890のなによりの魅力は、Core Ultra 200SシリーズのCPUに対応していること

本稿執筆時点(2024年11月27日)での話になりますが、Z890チップセット搭載マザーボードの最大の魅力は、Intel製の最新CPU・Core Ultra 200Sシリーズに唯一対応したマザーボードであることです。Core Ultra 200SシリーズのCPUソケットはLGA1851で、Z790・H770・B760チップセット搭載マザーボードが装備しているLGA1700とは互換性がありません。Core Ultra 200SシリーズはデスクトップPC向けのIntel製CPUとしては現時点で最新のものですが、これを搭載したPCを組みたければ、マザーボードのチップセットは必然的にZ890になるというわけです。

Core Ultra 200Sシリーズは、AI処理に特化したNPUを搭載したものとして、初めてのデスクトップPC向けのCPUです。デスクトップPC向けで最速のコアとなるPコアを最大8基、効率よくタスクを消化するEコアを最大16基搭載しており、前世代のCPUと比べて省電力化と同時に性能アップを実現しています。最新・高性能にこだわりのある方にとっては、垂涎のCPUです。

グラボとM.2 SSDを同時にPCIe 5.0で接続できる

Z890チップセット搭載マザーボードの性能面を見てみると、多くがZ790と同等になっています。そのなかでも進化しているポイントは、PCIe 5.0レーンの増加でしょう。

Z790のPCIe 5.0のレーン数は、1×16または2×8です。そのため、PCIe 5.0で接続できるのは基本的にはグラフィックボードのみでした。ですが、Z890では、これが1×16 + 1×4に増加。そのおかげで、グラフィックボードとM.2 SSDを同時にPCIe 5.0接続できるようになりました。地味に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、PCの性能を着実にアップしてくれる嬉しい要素です。

なお、PCIeの総レーン数は、Z790もZ890も48と同数です。ただし構成が変わっています。詳しくは以下の表をご覧ください。

チップセットZ890Z790
PCIe 5.0(CPU)1×16 + 1×41×16または2×8
PCIe 4.0(CPU)1×41×4
PCIe 4.0(チップセット)2420
PCIe 3.0(チップセット)なし8
合計PCIeレーン数4848

また、もう一つ大きな変化が、DDR4メモリ対応モデルの有無です。Z790チップセット搭載マザーボードでは、DDR4とDDR5に対応した機種がそれぞれ発売されていましたが、Z890ではDDR5対応モデルのみとなっています。DDR4メモリを搭載していたデスクトップPCから乗り換えるという方は、新しいマザーボードでは従来使っていたメモリが使用できなくなるので注意しましょう。

ギガバイトのZ890チップセット搭載マザボは、新機能・新機構モリモリ

ギガバイトでは、Z890チップセット搭載マザーボードを9機種発売しています。ここからは、ギガバイト製品ならではの魅力について解説します。以下は、ギガバイト製品における、Z790とZ890のチップセットを搭載したマザーボードの比較表です。

一見しただけで、数多くの変化があることがわかります。大きなポイントとしては、Thunderbolt 4を2連搭載しているモデルがあることです。従来そのような製品はなかったので、ギガバイトとしても初となります。なおThunderbolt 4を搭載しないモデルもありますが、その機種でもUSB 4に対応しているので、転送速度で不満を持つことはまずないはずです。

↑現時点で最上位モデルのZ890 AORUS MASTER。2連Thunderbolt 4を搭載

性能面ではメモリの最大周波数がアップ。Z790と比べ、最大1000MT/s以上速くなりました。また、Wi-Fiも、Wi-Fi 7に標準対応しています。

そのほかにも、AIによる制御で効率的なオーバークロックを実現する「AORUS AI Snatch」や、使用中の発熱状況に基づいてAIが最適なプリセット・プロファイルを提供する「AI Perfdrive」といった機能を新たに搭載。放熱性も向上しており、自動制御機能を搭載したメモリ用の冷却ファン「DDR Wind Blade」の一部機種への搭載に加え、バックパネルの通気口設計の見直しによって、従来と比べて温度を7度下げることに成功しました。

↑AI Snatchエンジンによって、オーバークロック性能が最大20%上昇

また、自作のしやすさという観点でも進化点があります。従来から好評だった、グラフィックボードの脱着をボタンひとつで可能にする「PCIe EZ-Latch PLUS」の搭載対象を全機種に拡大。M.2 SSDおよびそれに付属するヒートシンクも、ネジなしで脱着できます。さらに、Z790ではネジ込み式だったWi-Fiのアンテナ接続部が改良され、1秒で脱着できる「Wi-Fi EZ-Plug」になりました。

↑DIYを手軽にする機構は、ギガバイト製品の魅力のひとつです。Z890チップセット搭載マザーボードでは、これをさらに拡充しました

デザインのラインナップをリニューアル。白のモデルはAEROからICEに移行

Z890チップセット搭載マザーボード発売に合わせて、デザイン面でのリニューアルも行いました。これまで、クリエイター向けのモデルとしてホワイトカラーの「AERO」シリーズを発売していましたが、Z890からはZ890 AERO Gの1モデルを除いて「AORUS ICE」シリーズに統合しています。

↑AORUSシリーズおよび、エントリーモデルのEAGLEシリーズの主要な差異。ICEとついている機種が、ホワイトのモデルです

エントリー向けの「EAGLE」シリーズは従来通りラインナップ。Z890 EAGLE WIFI7の場合、4万円前後の比較的手頃な価格で、最新のチップセット・CPUを使うことができます。費用を抑えつつも、最新鋭のPCが欲しいという方におすすめです。

↑Z890 EAGLE WIFI7。エントリーモデルではありますが、USB4やUSB 3.2 Gen2 Type-Cなど豊富な端子を搭載。PCIe 5.0スロットはもちろん上位モデルと同数で、性能は十分です

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